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ロシアの交通事故の多さ、運転免許証の交付実態にも一因あり?

このところ、脱法ドラッグが原因の自動車事故が相次いでいます。6月には池袋で8人が死傷する事故が起きましたし、7月に入ってからは8日に仙台市と豊橋市で1件ずつ、12日に大阪で2件、15日には新宿区での事故と、いずれも脱法ドラッグ(危険ドラッグと改名されました)を使用した運転者が引き起こした事故でした。

日本のように厳しくきちんとした教習所がロシアにあるのかどうかは知りませんし、米国のように筆記試験と簡単な路上試験で免許が取得できてしまうのかもしれません。あまりに交通事故が多い要因のひとつに、ずさんな運転免許交付の実態もあるのかしらんと思わせる記事が、7月1日付のコメルサント紙電子版(http://www.kommersant.ru/)に載っていました。

「検事総局が、内務省と厚生省は情報交換及び情報共有の協力態勢を打ち立てることができておらず、そのために図らずもドラッグ常習者やアルコール中毒者や精神病者に運転免許証を発行する事態となっていると、メドベージェフ首相に訴えた。この3年間で、検事局の視点からすればハンドルを握るのは危険だと思われる5万人のロシア国民に、運転免許を取得させていた、というのである。
内務省の道路交通安全監督局では、この問題は、厚生省のデータベースによって、監督官が運転者たちの健康状態をチェックすることが可能になれば解決するという。厚生省は、そうしたシステムを今年末までに始動させると約束している。
『調査結果によって、<道路交通安全法>の規定違反が数多くあることが証明された。交通手段の安全な操作を妨げるような健康状態の人に、車の運転が許可されている。その中には、アルコール中毒やドラッグ依存症や精神疾患を病んでいる人たちも含まれているのである。』と昨日、検事総局が報告した。結果、検事たちの起こした訴訟により、裁判所はこの3年間でアルコール中毒症とドラッグ依存症を病む約5万人の国民から運転免許証を剥奪する結果となっている。
今日、道路交通安全監督局で運転免許を取得するには、600ルーブルを支払って数々の医療検査を受けたことを証明する健康診断書を提出しなければならないことは指摘しておこう。2014年4月1日からは、この健康診断書の発行規定がより厳しくなった。居住地の薬物専門診療所の診断書がなければ、運転免許証は取得できない。『こうした施策を取っていても、まだ各医療機関と国家道路交通安全監督局各支部が連携を図るにあたって生じている、お役所的な縄張り主義に起因する不備を根絶することができていないのである。』と検事総局は言明した。検事局の諸機関が、しばしば両者の連携の仲立ちをしているという。『以上のような法秩序の状態について、ロシア連邦首相に報告を挙げた』
検事総局は、厚生省に対し、『交通安全の医学的分野において、合法的かつ規範的な法文書を作成する』こと、また車の運転を差し控えるべき症状を有する国民(居住登録者)のデータベースを作ることを提案した。
国家道路交通安全監督局の説明では、現在では、運転免許取得に当たっては、健康診断書が偽造されたものではないかどうか、健康診断書にすべての専門医の確認印があるかどうか、を監督官がチェックしている、という。『違反が暴かれなければ、国民に免許証交付を拒否する法的権限は監督官にはありません』と同局は釈明した。『その際に、その健康診断書が合法的に発行されたものかどうかを推定することは不可能です。厚生省のデータベースがあって、監督官たちがそれにアクセスできれようになれば、この問題は解決されるでしょうが・・・』
今のところ、この問題は、運転免許証を取得した国民についての情報を定期的に照合することで解決されるケースが多い。国家道路交通安全監督局は、例えば最新一か月間の免許取得者リストを作成して、厚生省の諸機関に送付している。『検査を受けた運転者の誰かが、その健康状態において車の運転が許されるものかどうか疑わしいにもかかわらず、首尾よく健康診断書は手に入れているというケースがあれば、その人物についてのデータが検事総局に伝送され、同局が対応策を取るようになっています』と、国家道路交通完全監督局は説明した。かくして、例えば、ハカシア共和国では、300人以上の運転免許取得者が精神神経症専門診療所に登録されて人たちであることが暴露された。しかしながら、情報照会による方法はロシア連邦主体の枠内でのみ有効であると、言う。健康診断書と運転免許証の交付が別々の地域で行われたら、違反を暴露することは不可能となるからだ。
厚生省の方は、すでにリスト作成作業を始めているとした。厚生省の情報技術&通信局副局長ロマン・サフロノフの言葉によると、2014年4月の政府閣議で、今年末までに『運転免許取得に制約のある人たちに関する通報の仕組み』を実現させる任務を委託された、という。『厚生省と内務省が、共同で連携の仕組みを調整することになっています。省庁間の電子連携に関する技術的処理図が決まり、現在、しかるべき情報システムの最終的な仕上げ作業が行われています。パイロット地域のオムスク州とベルゴロド州で、同様の仕組みが仕上げ段階に入っていて、来年からこのシステムを始動させる予定です」

実際には日本もそうなのかもしれませんが、個人情報保護などという用語は、あってなきがごとしのロシアです。個人の自由と権利、社会の治安と生命の安全、その比重のかけ方が非常に難しくなってきている時代に、私たちは生きているのですね。



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