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大統領選挙戦を繰り広げる反プーチンのナヴァルヌィ、その真の狙いはどこにある?

7月21日、黒海沿岸のソチで地元の学校に通う生徒たちと交流したプーチン大統領は、生徒からの質問に答える形で、大統領職を離れるかどうかはまだ決めていない、と発言しました。後継者は決まっているのですか。と問われると、ロシア国民が決めることだと答え、大統領選の再選上限を撤廃する憲法改正については、これまで改正しなかったし、今後も改正するつもりはない、と述べています。21日配信のロイター通信が伝えていました。
2018年3月に予定されている大統領選まであと10か月を切りました。もしプーチン大統領が出馬すれば、今のところ当選は確実視されていますが、野党勢力に様々な圧力と妨害をかけ続ける手は一向に緩めていません。
その反プーチン派筆頭株がアレクセイ・ナヴァルヌィですが、プーチン氏と性格が似ているのでしょうかね、こちらもたとえ出馬資格をはく奪されても後に引くものかと、果敢に全国キャンペーンを展開しています。
8月1日付独立新聞電子版(http://www.ng.ru/)の記事です。

「未登録の党<進歩党>指導者の大統領選キャンペーンがほぼ全国に及んでいる。今日、数えて70か所目の大統領選挙戦本部が開設された。アレクセイ・ナヴァリヌィの政権への対抗活動が活発化するにつれ、ますます新たな刑事・行政訴訟が起こされ、そのたびに厳しい判決が下されている。
前日、反政権派ナヴァルヌィは、この長い期間で初めて、米国の対ロ制裁について発言した。ナヴァルヌィは制裁にも大統領選での登録にさえも期待しておらず、政治的のみならず社会的プロテストを主導すべく、国内の経済状況の悪化を待っている、と専門家たちは確信している。
大統領選挙戦連邦本部長のレオニード・ヴォルコフが語ったところ、今日66の本部にさらに4つの本部が加わるという。クールスク、ソチ、オルスク、マガダンで開設されることになっている。
先日、リペツクでの本部開設が妨害された。多くの家主たちがよくわからない理由で部屋を貸し出すことを拒んだのである。ナヴァリヌィの同僚イリヤ・ダニーロフは、数10件の物件に同じようなことが起きた、と言う。最後に交渉した女家主は、最初は契約を結ぶことに合意したものの、脅迫電話がかかってきて、考え直した。ダニーロフはあきらめずに新たな事務所を探し続けたが、問題は次から次に起きているという。『私の家の玄関ドアには落書きされ、インターネットは2回ほど切断され、ドアの錠には何やら汚物がぶっかけられました。外出するときには、友人たちに留守を頼まなければなりません。こうした圧力にもかかわらず、選挙戦本部事務所を置く場所を探す努力は続けられています』
活動家ダニーロフは、誰かがドアに黄色い液体をかけ、その上にナチスのシンボルであるかぎ十字を描いている写真を見せてくれた。彼自身、<過激主義と闘うセンター>から呼び出し場を受け取っている。
一方、ウラジーミル選挙戦本部コーディネーター、アレクセイ・エフレモフには、警察の要請によりドミートリエフスキー大聖堂の観覧広場を離れて、政権の許可なく集会を開くことができる中央公園のオープンスペースに移るようデモ参加者らに呼び掛けた際にメガフォンを使ったとして、30時間の強制労働が命じられた。6月12日の抗議行動に参加したことに対する判決である。エフレモフは、強制労働は憲法裁判所の決定により『市民の健康、および自然人あるいは法人の資産に害を与えるような』違法行為に対して下されるものであり、そうした行為はなかったと主張し、不服を申し立てるつもりであると述べた。
選挙本部の法律家キリール・ニコレンコも、未許可集会を組織したとして、計2件の罪で4万5000ルーブルの罰金を課せられている。
ウラジーミルの地元活動家ヴィクトリヤ・ローヴォバもまた、6月12日の汚職抗議デモに参加したことで憂き目を見た。ソーシャルネットにナチスの制服を着たロシア大統領によく似た風貌の男のカリカチュアを載せた責任を問われ、3昼夜拘留されたのである。
ヴォルゴグラード選挙戦本部のアレクセイ・ヴォルコフ部長は先週末に、<ロシアの軍人の名誉のシンボルを汚した>として起訴され、公式的には、予定住所不離契約書の形で保全処分となった。ナヴァリヌィのこの同志にシラビキたちが目をつけ始めたのは、<母なる祖国>の像の顔が編集されて緑色に塗られた写真が公開されてからのことである。それは、アレクセイ・ナヴァリヌィが遊説中に緑色のペンキをぶっかけられた後、彼の支援者たちがインターネット上で一斉にブラッシュモブをかけた時に起きた出来事であった。
選挙本部が活動している他の地域でも様々な困難が生じている。例えば、クラスノヤルスクでは、活動家たちがアジト・キューブを設置することを市役所が一斉に拒否している。<フコンテクテ>の選挙戦本部グループは、拒否書簡のコピー17通をピックアップして並べた。ナヴァリヌィの支援者たちは、こうした市のやり方に抗して、ボランティアたちが5人から10人のグループを組んでビラ配りをしながら街を歩くという<アジト・ウォーク>を始めた。
政治技術センター第一副所長のアレクセイ・マカルキンは、アレクセイ・ナヴァルヌィが大統領選挙戦に参戦したということで、クレムリンはおそらく彼を許容しないという決定をしかるべく採択したのだろう、と独立新聞に語った。『もし裁判所が政治家ナヴァルヌィの立候補を妨げる判決を取り消したら、ナヴァリヌィに敵対しているシラビキや国家機関は大打撃を受けるだろう。それにそうしたからといって、大統領選自体でなにも変わるわけではない。野党支持者らは彼らを不誠実だとなじり続けるだろうし、ロシア政権にとっては西側の意見などどうでもいいことだからだ』
マカルキンは、ナヴァリヌィの動きが急転回を見せるのは2018年大統領選に絡んでではなく、国内の状況変化に呼応した時である、と続ける。『財務省は先日、今年末には賃金支払予備基金が底をつくと発表した。国内の経済状況の悪化について口にするのは、もはや野党勢力だけではなくなったのである。こうした状況で、国民の不満は増大するだろう。ナヴァリヌィはその先頭に立とうとしている』
ところで、ナヴァリヌィはこの長い期間で初めて、米国の対ロ制裁に関して発言した。賛成も非難もしなかった点が特徴である。彼は支持者たちにその本質を説こうと努め、ロシア政府は一連の国際条約を破り、『こうしたことに抗して米議会は、米大統領はロシア連邦政府に対してそうした国際条約の履行を求め、グルジアやウクライナやモルドヴァから軍を撤収し、これらの領土の国境管理をしかるべくそれぞれの国々に引き渡し、またこれらの国々の政府の人気を下げようとするあらゆる試みを止めるように求めるべきである、と言わんとしているのである』と解説した。『米国はまた、汚職で私服を肥やしたロシア連邦の官僚たちとプーチンの取り巻き連中がこれらの国を利用して違法にカネをロンダリングすることを防止するために、欧州およびユーロアジア諸国と協同するべきである。米議会はこうした目的のために2018年と2019年に2億5000万ドルを割り当てている』とも強調した。
ロシアの官僚たちの活動を何よりも反汚職の立場から調べ上げて公表したのは、ほかならぬナヴァリヌィ自身であることをあらためて指摘しておこう。専門家たちは、マスコミが騒ぎ立てる以外にも、公表された資料が実際的な効果を持つことも除外できない、とすでに指摘し始めている。今や米議会がこうした公表資料に基づいて公式に調査を始めるかもしれないからである。
もっとも、アレクセイ・マカルキンは、制裁はロシアの市民社会をそれほど助けてはくれないだろう、と見ている。第一に米国の国家機関は、米国の企業や政治家、個人が絡んだ現体制の職権乱用の調査にその活動の方向を定めており、そうした場合は『自国も他国もひどい目にあうかもしれない』と主張する。マカルキンは、ナヴァルヌィには何か意図があって制裁に関して抑制した立場を取らなかった、と解説した。『制裁は市民社会にはおそらく何ももたらしてはくれないが、その一方でロシアの国内経済をよりいっそう厳しい状況に追い込み、それに伴って締め付けも厳しくなるかもしれない、という読みである』と」

なかなかにカラフルな大統領選挙戦ですが、プーチン氏の対抗馬ナヴァルヌィ氏が必ずしもリベラルではなく、愛国主義者・民族主義者的な側面を持っていることも、見落としてはならない点でしょう。ロシアでは、独裁政権の後にリベラル政権が来る、という保証はありませんから。



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