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これも国家安全保障戦略の一つ? 抗生物質の国内全生産工程再開に着手

これも重要なロシアの国家安全保障戦略の一つ、と考えるべきなのでしょうか?
慢性的な医薬品不足(特にロシアは抗生物質信仰が強いように思われます)の解消をめざしてきたロシアが、この25年間で初めて、ロシア国産の成分のみを使った抗生物質の全生産工程に着手するそうです。

2月20日付のイズベスチヤ電子版(https://iz.ru/)の記事です

「この四半世紀で初めて、ロシアでもっぱら国産の成分からなる抗生物質の全生産工程が始動する。ヴェロニカ・スクヴォルツォーヴァ厚生大臣がイズベスチヤに語ったところによると、2年後に完全に国産の薬剤20種類が発売されるだろう、という。今年は4種の抗生物質の生産が開始される、と厚生省は述べた。新世代の薬剤―バンコミチン・テラバンチン・オリガバンチン・ラモプラニンーである。敗血症、骨と関節および呼吸器下部器官・皮膚・軟組織の感染症に使用される。
バンコミチンの完全生産工程は2月20日に開始される。モルドヴィアの株式会社<ビオヒーミック>が生産拠点だ。このために生産作業場が改築された。新設備の導入によって、国際GMPを含めたすべての規格を満たす薬剤の生産が可能となる。
『生産インフラが現代化されることで、2020年までに輸入品に代わる、つまりオリジナルの薬剤生産という戦略分野で輸入物を国産品に切り替えることは、政府の仕事の重要な方向性の一つです。今日、死活的に必要な薬剤リストの84%が国内で生産されています。これは特筆すべき成果ですね。専門家たちの評価によると、こうした伸びは今年も継続されます。2018年末にはリストの90%がロシア国内で生産されるでしょう』
大臣はまた、新企業は国民に必要な薬が手に入りやすくするばかりではなく、生産工程に直結する独自の科学的基盤も発展させる、と指摘した。新企業の基で教育の場、モルドヴィア国立大学と共同で開設された化学および生理的活性物質テクノロジー講座も活動していくだろう。『これは坑微生物薬剤に対して抵抗力の強い疾患の病原菌と闘う上でも大きな意義を持っています。独自の生産基盤を持つことによって、個々の病原菌が抵抗を見せた時に適時対応することができます。特に、結核といった危険な疾患の場合には重要ですね』と大臣は付け加えた。
厚生省は、<薬学のブレイクスルー>は薬剤を国家に保障するという国家安全保障の重要な鍵の一つとなるに違いない、と指摘している。
ロシア薬剤生産業者連盟会長のヴィクトル・ドミートリエフは、ソ連邦崩壊までは我が国は国内のみならず他国にまで薬剤を供給していた、と語る。『ロシアはインドや東欧諸国、アジアに薬剤を輸出していました。ソ連邦が崩壊したとき、市場に登場したのが中国です。ロシア国内の生産企業は価格の面で中国企業と競争できまず、ほぼすべてが閉鎖されてしまいました。今、状況は変わりました。中国では、空気を汚染しないために高価な清浄設備を追加設置しなければならないという新たな要求が生産者側に突き付けられています。これは、薬剤価格を2倍に引き上げますからね』と彼は説明した。
ドミートリエフ会長の言葉によると、今ロシアには価格政策で中国と競争するチャンスがある、という。しかし、もちろん、国家の追加的な経済支援が必要である。
一方、薬品会社<ポリサン>のエフゲニー・カルダッシュ社長は、ロシアはそれでもまだ医薬品の生産で輸入成分に大きく頼っている、と指摘する。『ロシアは薬剤製造成分の90%を国外から買っています。箱に国産と明記してあっても、多くの場合には輸入成分が利用されているのです。しかし、全工程生産の導入によって、国は薬剤を確保することができるようになるかもしれません』と彼は語った。
2017年にロシアでは坑細菌薬剤の輸入が増大した、との報告もあるところだが・・」

欧米が経済制裁の手を緩める気配が一向に感じられない状況下で、ロシアは危機感を強めてはいますが、国民生活の根幹を支え、戦略的にも重要な食糧生産や医薬品生産や消費財生産で国内産業を活性化させようとコツコツ(?)努力は怠っていないようです。
たとえ品質の良し悪しは後回しとなっても、安易な輸入に頼らず、大抵のものは国内で賄えるというのは、愛国心が強い国民には安心感を与えるものですからね。
ロシアは辛抱強く、耐え抜いて、これまで様々な国難を生き抜いてきた国でもありますから・・・。


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