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社会的抗議グループが連盟結成に向けて初の会合

来年3月の大統領選出馬を決めたプーチン大統領は、14日に年末恒例の内外記者向け大型記者会見を開きました。「税率が高すぎる」「光熱費が上がりすぎる」「有力な対立候補がいないのはなぜか」等々、内政問題では厳しい質問が飛び、国内では課題が山積している実態が浮き彫りになりました。 圧勝が予想されているものの、こうした不満がくすぶって長期政権が飽きられてきている側面もあり、予想外に投票率が低かったり、プーチン自身の得票率が低かったりする可能性も否定できません。
社会にくすぶるそうした不満を掬い上げて組織化しようという動きも出てきています。

12月7日付の独立新聞電子版(http://www.ng.ru/)が報じていました。

「複数の社会的抗議グループで連盟を結成しようと呼びかける初の集会が開かれ、互いを支援しあう活動を行っていくことが決議された。40地域の活動家たちが協力に前向きである。一方、その抗議行動で最も名を馳せている<ロシア長距離トラック運転手同盟>と<礼儀正しい農夫たち>は、今のところまだこの動きには参加していない。
経済・政治改革センターのニコライ・ミローノフ所長が独立新聞に説明したところでは、この同盟はまだ形としては創設されていない。独立新聞がこの記事を書いた時点では、最初の集会が開かれただけである。したがって、今のところはまだ最終的な組織名も規約もない。それでも『事実上、様々な社会活動グループの同盟を結成する動きはあったわけであり、活動家たちは諸々の共同計画についてすでに話し合っている』と彼は言う。『最も重要なのは、以前から全国で抗議活動は増えているが、様々なグループがこれだけの規模で自身の権利と利害を守るために結集することを決めたのは初めてである、という点だ』と付け加えた。
現在、この組織に正式に加わっているのは、独自の運動<国民の団結>を掲げるロストフ州グーコヴォ市の炭鉱労働者たち、ヴォルクータ市の鉱山労働者たち、外貨建てで住宅ローンを組んだもののルーブル暴落で損失を背負わされた人たち、だまされた株主たち、国民運動<住居のために>の活動家たち、である。少し前に開かれた全ロ人権擁護者大会にそれぞれの代表を送り込んだ<農民>と<長距離トラック運転手>たちとは交渉が行われている。
ミローノフは、それぞれのグループの問題解決を個別に目指していくと同時に、抗議活動を含めた共同行動も組織していく計画である、と伝えた。地方ネットワークも作っていく。40のロシア連邦主体から活動家たちが参加するだろう。こうした全活動のコーディネーターには、ミローノフ自身と運動<人権のために>の代表レフ・ポノマリョフがなる。彼らの意見によると、『今、どんなに小さな抗議グループにも、それぞれの声を社会に届けるチャンスが到来している』 権力側が通常やるように、個々の活動家たちに脅しをかけたり裁判に引きずり込んだりして、そうすることによって不満を抱く分子たちが結局何もできないように紛争の火をもみ消すことが決してないように、と。
『自身の権利を守るために立ち上がろうと決意した人々には、今や支援を求めて頼れる者たちがいる。抗議はもはや狭いグループや個々の地域の枠内に閉じこもることはないだろう。地域間の協力がそのローカル化を許さない。そして洗い流されてしまうことも許さない。すなわち、彼らは、ブルドーザーのように容赦なく彼らをつぶしていく国家マシーンの車輪の轟音だけではなく、彼らがその代表である真の国民の団結の力を感じ、聞くことができるのである』と、同盟の宣言草案にある。
ポノマリョフは独立新聞に対し、クバン地方から<礼儀正しい農夫たち>を呼び込むつもりである、と語った。『私は以前から彼らと仕事をしている。長距離トラック運転手たちのデモ行進の後にそのリーダーらに対して起こされた刑事訴訟を止めることもできた』と。
彼は、運動に乗り出した社会的グループの権利が制約された事実を、人権擁護者たちが全国規模で集めている、と述べた。『炭鉱夫やだまされた株主や農民たちの様々な問題ごとに個々のデータベースを作ることになる』と説明した。
ミローノフは、自分たちが抱えているよりもっと大きな問題が色々と存在していることに仰天して、農民たちは今のところこうした動きに参加することを拒んでいると伝えた。一方、<ロシア長距離トラック運転手同盟>は参加について前向きに考えると約束した、という。
しかしながら、ここで深刻な問題が生じた。12月1日、<ロシア長距離トラック運転手同盟>が<外国エージェントのNPO>リストに加えられたのである。同盟のリーダー、アンドレイ・バジューチンは、『我々としては、これは挑発だと思っている。寄付は何らかの組織や基金から寄せられたものではなく、我々のラリーに対して個人から寄せられたものである』と説明した。彼はまた、リストに載せるには様々なファクターの総和が必要であるが、<ロシア長距離トラック運転手同盟>は政治活動は行っていない、とも指摘。寄付は4人のドイツ人から寄せられ、総額24万7000ルーブル、つまり一人当たり1000ユーロだった、という。長距離トラック運転手たちには、それがいったい誰であるのかはわからない。『手元には氏名と銀行書類があるだけだ。ドイツまで出かけて行って、寄付はありがたいが、その寄付をしてくれたのはいったい誰であるか、我々には確かめることはできないのである』
バジューチンは、寄付を寄せてくれた人物が、<通行料金徴収>システムの欧州の経験について<ロシア長距離トラック運転手同盟>が話を聞いた知人のドイツ人長距離運転手たちである可能性も示唆した。
バジューチンは、この新たに付け加えられたな地位が<ロシア長距離トラック運転手同盟>の活動の妨げになることは決してないが、大統領選に参加する諸々のプランには影響が出るかもしれない、と述べた。『今、こうした法律がたくさんできて、真実と公正を求めて発言する人々は外国エージェントのレッテルを張られるリスクを冒している。しかし、重要なポイントは、今や法律によって私は大統領候補者として<ロシア長距離トラック運転手同盟>から推挙されることはできず、同盟の活動家たちは推挙人グループに入ることはできない、ということなのだ。だから私は、100人ではなく、500人を捜し求める必要がある。我々は、モスクワで12月20日から28日にかけて、まだ<ロシア長距離トラック運転手同盟>に入っていない仲間を集める』と強調した。
人権に関する大統領諮問会議のメンバー、イリヤ・シャブリンスキーは、社会的抗議グループの連盟結成を全面的に支持し、同諮問会議の支持を取り付ける努力をすると約束した。シャブリンスキーの意見によると、そうした連盟の結成は<きわめて時期に適っている>、というのも、このところ社会的権利や労働者の権利が現実に制約されており、給与支払いの滞りなどいろいろな問題が生じているからだ、という。」

2016年3月16日のブログ<トラック野郎たちのストライキ>で、重量級の長距離トラックが自動車道に与えるダメージの補償として料金を徴収するという、通称<プラトン>制度の導入に猛反発して長距離トラック運転手たちがストライキに打って出た、という話をご紹介しましたが、それが<ロシア長距離トラック運転手同盟>として力をつけてきて、諸々の社会的抗議グループを刺激する形になっているのでしょう。
欧米の経済制裁の手は弱まる気配なく、何事もなければ大統領4期目を迎えるだろうプーチン政権の今後に、暮らしの悪化とともに溜まっていく小さな不満は、ボディブローのように効いてくるのではないかと予感されます。




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