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ロシア国民の民主主義と自由に関する意識調査

年が明けて、3月の大統領選に向けた選挙運動も本格化してきました。
プーチン大統領の他にも30人以上が立候補に意欲を示しているとされますが、圧勝が確実視されているにもかかわらず、政権側は締め付けの手を緩めていません。
大統領選立候補の手続きは昨年の12月18日に始まっていますが、無所属の場合はこの1月7日までに書類を選挙管理員会に提出する必要があります。その上、12月30日から1月8日までは新年のお休みなのです。
大統領選出馬への意欲が高く、早々に選挙運動を開始していた反体制派の筆頭格であるアレクセイ・ナヴァルヌィは、昨年12月25日に中央選挙管理委員会により立候補登録を拒否されました。同氏は昨年2月に横領罪で有罪判決を受けていて、表向きは<刑期を終えてから10年間は立候補できない>という法律が適用された形です。これに反発したナヴァリヌィ陣営は、選挙のボイコットを呼びかける抗議集会を連日開いています。
国際社会の目からすれば、裁判も含めて「これは明らかな反体制派つぶしだ、民主主義国家のやることではない」という批判が強いのですが、ロシア国民自身の民主主義と自由に関する意識はどうなのでしょうか?

12月12日付コメルサント紙電子版(https://www.kommersant.ru/)が、次のような世論調査の結果を伝えていました。

「ロシア国民の大部分は国家に民主主義が存在することは重要だと考えているが、<自由>についての解釈は様々である。フリードリッヒ・ナウマン基金の行った世論調査の回答から結論すれば、多くの人にとって自由とは、<経済的に自立していること>あるいは<誰にも依存していないこと>を意味するだけ、ということになる。さらにロシア国民は、国家のイニシアチブを信用しており、70%に達する回答者たちが、マスメディアの自由が制限されてもいいとしている。
調査によると、回答者の大部分(67,5%)が、自分たちの生活は<少なからず自分たち自身の肩にかかっている>と確信しており、回答者のわずか五分の一が<国家しだいだ>考え、7%が<他人しだいだ>と考えている。残りは回答が困難とした。
64%の国民にとって、ロシアに民主主義が存在することは重要であり(昨年よりほぼ15%増えている)、21.8%にとっては<どうでもよく>、5,4%にとっては将来ロシアに民主主義が存在するかどうかは<重要なことではなく>、6%は民主主義の重要性について回答するのは難しい、とした。その一方で回答者の半数(50,5%)は、同胞たちの大部分にとってロシアに民主主義が存在するかどうかなどそれほど重要ではない、と思っているのである。
ユリウス基金のモスクワ支部長フォン・フライタッグ-ローリングフォーヘンの意見によると、しばしばロシア国民は、<あなたは民主主義を支持しますか?>あるいは<あなたは大統領を支持しますか?>といった質問に対する回答を自分たちから聞きたがっているように感じるようだ、という。そして、多くの場合は肯定的な回答をするが、回答者たちの中で実際のところそれが何を意味するかを理解している人は少ない、ともいう。
自由の定義についても問われた。2番目に人気の回答例は、自由とは<誰にも何にも依存していないことである>(7,3%)、さらに4,9%が、自由とは<経済的に自立していること、物質的豊かさである>と考え、24,8%が、自由の概念に<選択・決意・投票・移動・思想・発言・自己表現の自由>を含めている。
回答者の三分の二(64,3%)が、国家は国民の私生活には全く介入していない、と思っており、25、2%が、国家は<むしろ国民の私生活に介入している>と考えている。10,5%が回答困難とした。昨年度の調査では、国家はロシア国民の私生活には介入していないと回答したのは49、65%だった。調査は18歳以上の1600人を対象に行われた
多くの場合において、ロシア国民は国家を支持するつもりだ。例えば、回答者の52%が、外国企業のロシア進出は制限すべきだと考えているし、58%が、外国製品の輸入制限は国の経済にとって有益である、と確信している。『国内生産者を支えるために外国製の子供のおもちゃの関税を高くする』という政府の提案には、68%の回答者が賛同している。
ユリウス フォン フライタッグ―ローリングフォーヘンの意見によれば、回答者たちの回答はかなり分化しているが、全体として『ロシア社会には権威主義の特徴が認められる』という。回答者のほぼ40%が『たとえば安全のためといった特別なケースにおいては』、国家がマスメディアを管理することを歓迎しているし、30%がいかなる状況においてもそうした管理は必要であるとみているし、マスメディアは完全に自由であるべきである、と考えているロシア国民はわずか25,8%だ。4,2%が回答は困難であるとした。
ロシア連邦では近年マスメディアの仕事を法的に制限する施策が取られている。ロシアテレビを外国エージェントのリストに登録した米国への仕返しとして、ロシア連邦では外国から資金を得て情報を流しているどんな組織でも、<外国エージェントのマスメディア>と見なすことを可能にする法律が機動的に採択された。
一方、世論調査の回答者たちに、あからさまな例(政権を批判するソーシャルネット上のコメントを読むな、と雇い主が従業員に強いる)の評価をたずねたところ、53,2%が雇用者のそうした行為を非難し、37,7%が支持し、9,1%が回答困難としている。」

民主主義先進国の欧米諸国でも、民主主義の概念が大きく揺らぎ、その在り方が根底から問われている時代です。民主主義途上国にあって、国民の意識に差とばらつき、判断の揺らぎがあるのは当然のことでしょう。イデオロギーに偏った頭でっかちの民主主義はどうも受け入れにくい、積極的に支持しにくい、という庶民の感覚もおそらくあると思います。
ちなみに、全ロ世論調査センターが12月中旬に行った世論調査では、83%がプーチン大統領に投票すると回答したそうです。

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