SSブログ

経済制裁をめぐり密輸業たちとのいたちごっこは続く

経済制裁にはいくらでも巧妙な抜け道があるようです。本当に効果があるものなのでしょうかね
周知のように、欧米諸国が掛けてきた経済制裁への対抗措置として、ロシア政府は欧米諸国からの農産物や食料品の輸入を禁止する措置を取っています。
2015年9月4日のブログでもご紹介しましたが、同年の8月6日にプーチン大統領が出した<密輸入食品廃棄処分令>の威力もあってでしょうか、密輸された食料品の山がブルドーザーで押しつぶされたり、焼却炉に投げ込まれたりする映像が流れて、さすがに一時は批判が高まりました。
しかしながら、その後も密輸業者たちがおとなしくなることはなく、政府が取っている対策も、相変わらず潰したり焼いたりという原始的なやり方みたいです。

12月19日付のイズベスチヤ電子版(https://iz.ru/)が書いていました。

「ロシア農業監督局は制裁対象のほぼ2倍の食料品を廃棄処分した。今年は、約1万トンの制裁対象品が処分されたという。
今年初めから1万トン以上の食料品が税関で没収されたが、これは1年前の1,7倍である。ロシア農業監督局でイズベスチヤに提出されたデータだ。専門家たちは、密輸業者たちは国境をすり抜けて<禁輸品>を持ち込む新たな手口を次から次に編み出している、と指摘する。彼らは偽造文書を活用しているだけではない。あたかもロシアの通過輸送を装って<禁輸品>を持ち込み、結局、第3国までは運ばないのである。
今年の年頭から、ロシア各地の関税所では約1万100トンの制裁対象品が没収され、内9900万トンが廃棄処分された。1年前の数字ははるかに低かった。税関で没収された制裁対象品は6400トンで、そのうち廃棄処分されたのは6000トンだったのである。<禁輸品>を処分する術は相変わらずこれまで通りだ。圧搾機かシリンダーで押しつぶして、炉で焼却している。
ロシア農業監督局はイズベスチヤ紙に対し、植物性製品類のなかで業者たちが国内に運びこむのはリンゴ、かんきつ類、ナッツ、キノコ類が多い、と語った。動物性製品類ではミルク、乳製品、食肉、食肉製品が多いらしい。ロシアに入ってくる制裁対象品をすべて完璧に追跡することは難しい、とも指摘する。こうした製品はユーロアジア経済共同体諸国とのオープンな国境を楽々越えて運び込まれてくるからである。
『それでも我々はもちろん、ロシアになんとか制裁対象品が入ってこないように努力しています。例えば今年は、<禁輸品>がロシアの店舗の棚に潜り込まないように、カザフスタンとベラルーシの国境にいくつか臨時の哨所を設置しました』と、同局のユーリヤ・メラノ報道官は語った。同報道官の言葉によると、こうした施策は制裁対象品に対する大統領令と政府の決定を受けてのものだという。2015年から、農業監督局はロシア国内への輸入を禁止された製品の廃棄処分に責任を負う立場にある。
ロシア連邦税関はイズベスチヤに対し、農業監督局と協力してベラルーシ、カザフスタン、グルジア国境の哨所で任務に当たっている、と語った。税関のデータによると、2017年度はポーランド、ラトビア、リトアニアからの密輸が多かったようだ。
<禁輸品>の廃棄処分量が多くなった点については、農業監督局の仕事ぶりが強化されたからではないか、と専門家たちは見ている。『現実にどれだけの量の製品が密輸されたかを計算するのは極めて困難だし、非現実的でもある。調達者たちは輸入禁止の農産物をロシアの市場に輸送する新手のやり方を次から次に思いついている。例えば彼らは、あたかもロシアを通過するかのごとく商品を持ち込んで、結局は第三国までは行かなかったりするのだ。密輸業者たちの手口は多い。しかし、これまでよりも多くの制裁対象品が廃棄処分され始めたという事実は、ロシア農業監督局が有効な仕事ぶりを見せているということでもある』と、国家牛乳生産者連盟執行局長のアルテム・ベロフは見ている。
国家食肉連盟執行委員会委員長のセルゲイ・ユーシンも同意見だ。彼の言葉によると、制裁対象品の中で、特に肉類は基本的に加工企業に送り込まれるという。『工場はそうした肉を受け入れている。それに、彼らにはそれが制裁対象品であるとわからないケースがしばしばある。密輸業者たちが偽造文書を付けているからだ。こうした偽造文書は本物と見分けがつきにくい。そこにはただ生産国として制裁を受けていない国の名前が記してあるだけだからだ。食肉と食肉製品に関して言えば、南米諸国産と書かれていることが多い。実際には、そうしたやり方で、これまでロシアへの最大輸出国だったドイツやデンマークやバルト三国から商品が持ち込まれているのである』とユーシン氏は解説した。
ロシア連邦関税局のデータによると、2017年度に制裁対象品を密輸しようとした業者に課せられた罰金総額は700万ルーブルであった。」

陸続きの国には国境はあってなきがごとしなのでしょうね。農産物や食料品レベルの輸出入禁止は、ロシアのみならず、欧州の生産者たちにとっても痛手でしょうに、もっと賢明で有効な政治的手段はないものでしょうか。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。