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ロシアに押し寄せる中国人観光客、バイカル湖にも触手を伸ばす

今回は、極東でいろいろとロシアに触手を伸ばしている中国の話です。
観光にまつわる話で、何しろ中国人観光客はロシアにとっても最大のお客様ですから、当局としても難しいところでしょうけれど、中国人起業家たちがその貪欲なバイタリティで地元の土地を買い上げ、中国資本で観光事業を展開しようとしているとなると、少し事情は違ってきますよね。
日本でも、中国人たちが日本の山林や原野を買いあさっている事実に警鐘を鳴らす記事を最近よく見かけますが・・・

1月10日付独立新聞電子版(http://www.ng.ru/)に載っていた記事です

「ロシア経済は観光でそれほど儲かってはいない、ロシア連邦国民経済総生産に占める観光分野の割合は最大でも5%で、これは大多数の基幹経済分野よりもはるかに小さい、と観光と旅行の全世界会議のデータを分析して総合戦略研究所が報告している。その上、グレーな図式により、ツーリズムの収入の一部が国庫を素通りしている。時として、地方の観光地としての魅力が国庫を潤すどころか、おいしい土地の一片が外国人、特に中国人の所有になっていたりする。それが住民たちの不満を呼んでいる。例えば、バイカル湖を巡るスキャンダルだ。
ロシアでツーリズムの国民総生産への直接的な貢献度は1%強で、全体としては約5%程度だ。『基幹経済として観光分野が国民総生産に直接貢献している率は3%から5%、全体としては8~10%である』と研究者たちは指摘している。
正確を期して総合戦略研究所は、引用した数字は国内観光・国外観光とも計算に入れたもので、データには個人旅行のみならずビジネス旅行も含まれている、としている。『交通費、滞在費、食費その他の支出は旅行費に直接含め、美術館や博物館や国立公園めぐりといった観光関連目的も含めてある』と同研究所の分析部門副部長ヴェーラ・コノノヴァは独立新聞に説明した。『これに加えて、わが研究所では、観光分野の経済に対する全体的な貢献度も評価に含めており、つまり観光分野への投資支出、ツーリズム分野に携わる人たちへの支出、観光サービスを提供している企業の経済への貢献度その他も考慮に加えた評価だということである』
これほど控えめなロシアの指数は、何よりもインフラの乏しさと関係している。『いくらか改善されてはいるが、地方と地方をつなぐ航空路、チャーター便、短距離飛行などがまだ十分に発展しておらず、ホテルなどの宿泊レベルも、多くの地方ではまだ現代的な質の条件を満たしていない。多くの場合に、ツーリズム分野で仕事をしていく現代的な技術が不足しており、その結果、ロシアの国内旅行は多くの場合にありえないほど高くついてしまっている』とコノノヴァ副部長は言う。
それでもロシア観光局は、国の観光潜在力は増していると言明している。例えば、昨年末にオレグ・サフォノフ局長は、訪ロ観光客数は2017年1月から9月期に2016年同時期に比べて14%増え、この8年間で最大数となった、と報告している。
ロシア連邦を訪れる文句なしの筆頭格は中国の観光客たちで、2017年の1月から9月期でほぼ100万人が訪れた。中国からロシアへの観光客の流れの伸びは、年換算すれば24%である。中国人観光客に続くのはドイツ人観光客(36万8000人)、米国人観光客(20万7000人)である。
増えている訪ロ観光客数は53の経済分野の収益を潤し、雇用状況を改善し、中小企業の発達を促し、地方間格差を是正する、とサフォノフ局長は列挙した。同局長の手元にあるデータによると、中国人観光客たちは、毎年ロシアに22億ドルを落としてくれているという。
というわけで、彼らには特別な期待が寄せられている。昨年秋にロシア連邦政府が、中国国民がビザなしで訪ロできる可能性を広げる決定を下したのも、理由があってのことだ。メドベージェフ首相は、5人以上どころか3人以上の観光旅行グループであれば、ビザなし訪ロを許可する書類に合意すると語った。
その上、彼らは2週間ではなく3週間もビザなしでロシア連邦に滞在できる。確かに、別筋の評価から判断するに、アジアからの観光客増加によるロシアの稼ぎは実際にはロシア観光局のデータより多いかもしれない。英国紙タイムズのアナリストたちが、ロシアと中国観光客について商品とサービスの支払いで裏取引があると書いていたことがあった。
『たとえば、観光先の中国料理店での食事代は中国側の管理局やその家族のつけとして中国に送金され、税金は一銭も町の予算に入らない、というケースがある』とポルタルNewsru.com.は具体的に報じた。『中国の旅行会社は、そのオーナーが直接的であれ間接的であれ中国出身者であるレストランやホテルで中国観光客が食事をしたり宿泊したりするように、団体旅行を手配する』と、関係筋はリアノーボスチに語っていた。
しかし、問題はこれだけではない。いくつかの地方の観光的魅力が、文字通りその地方自体の反発を生む方向に動き始めているのである。例えば、バイカル湖だ。ポルタルChange.orgにアンガルスクの住民たちの<中国式の干渉>に反対する請願書が投稿された。すでに5万7000人以上の署名を集めており、ロシア国内だけではなく外国のマスコミの注目も集めた。
『中国国民がロシア国民から活発に土地を買い占めている。リストビャンカではすでに集落の土地の10%が中国人たちの所有である。こうした状況がこの先続いていけば、5年から10年後にはロシアの旧集落は中国の一地方に変わってしまうだろう』と請願書を書いたユリヤ・イヴァネッツは警告する。彼女は列挙している:柵には中国語で売り地と書かれたバナーが括り付けてある、土地はあたかも個人の住宅建設用に購入しているように見せかけて、非公式にホテルを誘致している、ツアーを引き連れた中国人ガイドたちは、バイカル湖は『一時的にロシアに帰属している中国人たちの北の海です』とガイドしている、などなど。
住民たちはまた、新たな所有者たちの買い上げた土地や自然資源に対する野蛮な扱いにも苦情を訴えている。フィナンシャルタイムズは、特にリストビャンカ自治政権に近い議員の中には、集落の土地が10%買い占められているというのは誇張しすぎていると伝える者もいる、とまた違った見方も引用しているが、それでも彼らでさえ、地元住民たちはとても懸念していると述べている、という。
イルクーツク州出身の下院議員ミハイル・シャーポフは昨日、問題は存在すると独立新聞に対してはっきり述べた。『文字通り新年を前にして、社会活動家や地元政権代表らを含むリストビャンカの代表団が私のところにやって来た。彼らとこうした問題について議論しあった。この状況にはいくつか要因がある。一つには、中国人観光客にとってバイカル湖の魅力が近年急速に増したということ。ロシア国民と違って中国国民たちは金持ちになっており、人民元の対ルーブル相場もかれらにとってきわめて満足のいくものとなっている。観光分野に中国ビジネスのカネが流れ込み始め、そのカネを地方の観光分野が手にし始めたわけだ。反合法的ないしは非合法的な木材調達もその中に含めた形で、である』とシャーポフ議員は言う。『中国の観光ビジネスは極めて閉鎖的だ。ホテルも旅行会社もチャーター便もガイドでさえ中国人自身がすべて管理しており、金は基本的に中国に送られる。結果として、ロシア側の予算に入る金はわずかなものだ』と議員は続けた。『地方政権はこの問題とできる限り闘っている。例えばイルクーツク州では、観光市場からの収益率を高めようと、合法的で大規模な中国ビジネスと対話を持とうと試みている。しかし、統一された国家政策がないため、こうした行動も成果を上げているとはとても言えない状況にある』
同議員の言葉によると、もう一つの要因は『国全体において、特にバイカル湖周辺において、土地政策が矛盾している点だ』という。『一方では、バイカル湖から50メートル範囲内に個人住宅を建てるという名目のもとにホテル複合施設一体を建設することができる。これを中国の企業家たちがやっているわけで、ロシアの司法機関はただ肩をすくめてみせるだけだろう。他方では、バイカル湖の隣にいざ合法的にホテルを建設しようとしてみれば、官僚たちとの闘いに数年は費やされる。バイカル湖をめぐる法律は矛盾だらけだ。多くの余計な禁止事項があり、様々な大きな問題がある』 
こうした中国の企業家たちは大金持ちで、政権内にコネがあり、地下の犯罪組織ともつながっているケースがしばしばある、とも議員は指摘する。『国家は原則的に国にとってのバイカル湖の位置づけを明確にすべきだ。これは世界最大の透明な水の貯蔵湖なのか、あるいはただの観光地なのか? こうした観点から政策を打ち立てるべきである。誰に対してもホテルビジネスを合法化するのか、あるいは完全に禁止するのか』 シャーポフ議員はそう問いかけた。
『現行のロシア連邦所有法に従えば、土地はロシア国民同様に外国人も所有できる。この点ではいかなる制限もなく、国籍による差別もない』と観光連盟<国境なき世界>の広報は指摘するが、それでもやはり、外国人が購入できないような一定の種類の土地はある、と言う。国立の自然保護区、地下資源埋蔵地、大陸棚、森林及び水資源に関わる土地、などである。
『もし商業施設が書類上は個人住宅不動産として登録されていれば、これは規則違反となる。そのことを証明して食い止めなければならない。こうしたやり方は誰にとって得となるのか? 闇の業者にとってだけであり、彼らとは闘う必要がある』と同連盟の広報は付け加えた。法を破っている法人には罰金が課せられる点も想起させた。『<違法ホテル>にはそうした罰金が課せられて破産するはずだが、もしそういったホテルが残っているのであれば、これまでどうしてそうしてこなかったのかが奇妙な点ではある』と。」




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